詞・曲 小津(銀)

きっと窓を開けたならば生温い風が入るぐらいで
空なんて飛べやしないわ 飛べないことなんかわかっている
人がもしも常しえなら もしも愛が常しえと言うならば
それが幸せなのかな ないものねだりこそが幸せなのさ

ただ有り得ぬ空想が救いなんて時もあるよ
まさか飛べるなんて思っていないから
そんなことで成り立つ憂鬱もある
例えば私に翼が有り空を飛べるのならば見下ろすことだけ悦に入るでしょう
風が運ぶ愁いの粒 煩わしいけれど 思いで浸るには相応しすぎる
きっと心開けたならば生温い愛を注いでしまう
心なんて正直じゃない 自分に嘘ぐらい吐けてしまうから

ここは503号室 狭いバルコニー
ここから見える春の鳥は小さな私を嘲る
直ぐ傍に自由があると錯覚させる黄昏
夕焼け空は忠実にこの愁いは燃やしてくれない

黄昏色のこのバルコニー 見慣れた場所だけれど
心変わりひとつでそこは舞台に変わる
悲劇のヒロインを装っては情けを請うこと
好きな男のひとりでもいりゃ馬鹿らしく思えるさ




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